戦国遊戯
「ぶぇち…ったぁい!」

くしゃみが途中で止まってしまい、鼻の奥がずきっと痛み、目が覚めた。

「あ、寝て…あれ?」

起き上がると、何故か、羽織のようなものがかけられていた。目の前ではパチパチ、と、火が焚かれている。

「??」

状況がわからず、首を傾げていると、はやぶさが顔をすりよせてきた。

「おはよ、はやぶさ」

そう言って辺りをきょろきょろみまわしてみる。
と、一人の男性がこっちに向かって歩いてきているのがわかった。

「起きたか」

甘い声。思わずドキッとする。が、顔を見てすぐさま血の気がひいた。

「あの、これはあなたが?」

かけられていた羽織を差し出すと、あぁ、と答えてきた。

「そんな羽織の一つや二つ。お前にくれてやる」

「へ?や、でも」

「寒いんだろう?この時期、この辺りはまだ暖かいとはいえ、その様な薄着で寝ていては、下手をすれば死んでしまうかもしれんのだぞ?」

片目に眼帯をした男性に言われて、自分が両手で体をさすって暖めていたことに気づく。

「ありがとうございます」

少し複雑そうな面持ちながらも、羽織を受けとる。

「しかし、お前はこんなところでなにをしているんだ?」

聞かれるも、答えられない玲子は、ただ、空笑いをうかべていた。

「いや、はやぶさと散歩に来ただけで、その…」

答えた瞬間、目の前の焚き火に砂をかけて消され、一瞬にして、光を奪われた。

「ちょっむぐっ…!」

声を出そうとすると、誰かが口を塞いできた。びっくりして暴れようとすると、耳元で、静かに、と、短く、あの甘い声が聴こえた。
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