戦国遊戯
暫くのにらみ合い。

先に動いたのは眼帯の男だった。

「いくぜぇ!」

だっと地面を蹴り、敵に向かって走っていく。敵も男に向かって走り出す。

がきぃ…ん

大きな音が鳴り響くとともに、2人の刀が弾きあった。男は楽しそうに、敵に詰め寄る。


私もぼーっとしてらんない!


じりじりっと脇差しのころがっていり方へにじり寄る。脇差しの位置を確認して、走った瞬間だった。

「ぐっ!!」

みぞおちに、鈍い痛みが走った。一瞬、目がくらっとなり、膝をつく。鋭い刃が飛んでくる。歯を食い縛り、痛みをこらえて、鞘で刃を弾き飛ばし、そのまま体当たりで相手を突き飛ばす。


チャチャチャチャッチャッチャラッチャチャラチャチャ


玲子の腰から、電子音が流れた。玲子以外の3人の動きが止まり、玲子の方をじっと見つめた。


確かこの着メロ、これ…お父さんかお母さんだ。電話出たいけど、今この状態じゃ…


手に汗がじっとりとにじんできた。自然と息があがる。

音が鳴り止み、緊張感が4人をとりまいた。
するとその時、がさがさっという草木の揺れる音がした。一斉に音のする方を見ると、数人の男の人が茂みから飛び出してきた。

「いたぞ!殿!」

「小十郎か!」

眼帯の男の側に、がたいのいい男が駆け寄ってきた。
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