戦国遊戯
***** 幸村's View *****

玲子を迎えにいってから、何かが変だった。
自分の中で、何かもやもやするものがあったからだ。

「ゆっきー!ご飯できたってー!」

幸村の部屋の襖を勢いよくあけて、中に入ってきたの玲子だった。玲子の顔をじっと見つめる。なぜか胸が痛むような気がした。

「…?ゆっきー??」

呼ばれて我にかえる。玲子が不思議そうな顔をして覗き込んでくる。

「具合でも悪いの?」

そういうと、玲子はそっと、幸村の額に手を当ててきた。幸村は顔を赤くして体を硬直させる。

「あれ?なんか…ちょっと、ゆっきー顔赤いよ?大丈夫?」

何とか声を絞り出して、大丈夫と伝えると、幸村は、額に置かれていた手を取り、玲子に聞いた。

「玲子」

「うん?なに?」

「玲子は、あの政宗のこと、どう思っているんだ?」

政宗の名前が出てきたせいか、玲子は顔は一気に赤くなった。

「な、何?急に」

慌てる玲子の姿を見て、なぜか幸村はどんよりとした気分になる。なぜ、そんな気分になっているのかわからない。玲子が政宗をどう思っているのか、そんなことがなぜ気になるのかがよくわからなかった。

「どうなんだ?」

「ど、どうって…」

玲子の目が泳ぐ。ますます気になって仕方がなかった。
が。
玲子の肩が少し、震えているのに気づいた。


これ以上、玲子に聞くのは…


「悪かったな、玲子。夕餉の準備が終わったんだよな。いこう」

ふう、と息をつき、立ち上がって玲子の手を取り、部屋を出て行った。
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