戦国遊戯
「こ、怖かったよー・・・」

またへたり込んだ。軽く涙が出てきたのを、あわててふき取る。


もーやだ。なんで?こんなに怖い思いしてるのに、何で目が覚めないのよ。


また、その場にへたり込んだ。虚ろな表情で、じっと地面を見つめる。
はぁ、深い息を吐いて、両手をついた。

「どうかしましたか?」

後ろから声をかけられた。若い・・・というよりは、幼い感じの少女が立っていた。歳は、私より少し下くらいかな。時代劇では、町娘風な感じの格好だ。

「あぁ、すいません。こんなところで座り込んじゃって」

「いえ」

機械的に受け答えをする。少しだけ言いにくそうな表情で、少女が続けた。

「ところで、あの…お屋敷に何か御用ですか?」

聞かれて、玲子は少し苦笑いを浮かべて、頭をかく。

「あー・・・実は私、一文無しで、行く当てもなくって。で、困ってたところを幸村さんに拾われたんです」

「え?」

不思議そうな顔をした少女に、後ろから声がかかった。

「さくら。その方を屋敷の中までご案内しろ」

「はい。若様」

軽くお辞儀をすると、さくらと呼ばれたその少女は、私を屋敷の中へと案内してくれた。

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