戦国遊戯
「玲子のことを知る人物は少ない。なのに、なぜ、玲子が狙われるのか。どうしてもそこが気になったんだ。佐助によれば、裏で糸を引いているのはどうやら織田の手のものらしい。どこでどうやって知ったのか、なぜ玲子を狙うのか。まだ詳しいことはわからないが…」

「まさか、田中くん…?」

玲子がぼそっと呟いた。幸村は田中?と聞き返したが、玲子はまさか、と、首を横にふった。

「とにかく、俺は明日、このことをお館様にご報告せねばならん。玲子は早く床につけ」

「でも…」

「大丈夫、佐助はそんなやわな男ではない」

幸村の言葉に、玲子はどこか複雑そうな表情を浮かべていた。幸村に肩を叩かれて、小さく頷き、そのまま部屋へと向かっていった。

「さくらは戻っているのか?」

側にいた侍女に幸村が確認すると、いえ、と短い返事が返ってきた。


さくらはまだ帰ってきていない。佐助のあの状態を考えると…
まずいな。


「少し出かける。馬の用意をお願いできるか?」

「はい、ただいま」

急いで部屋へ戻り、上着を羽織って門のところへ行く。用意されていた馬に乗り、信玄の屋敷へと急いだ。
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