戦国遊戯
***** 玲子's View *****

部屋に戻って何度も何度も考えた。織田の手の者ってことは、田中君だって容疑者の1人と考えられる。
でも、同じ世界から来た者同士なわけで。
何で私のことを狙ってこなきゃいけないの??

何度理由を考えてみてもわからなかった。
元の世界で、何か、田中君に恨まれるようなことでもしたんだろうか?

部屋の中をいったりきたり。落ち着きなくバタバタしているときに、つい先日の、襲撃を受けたときに、携帯が鳴ったことを思い出した。携帯を取り出してディスプレイを見てみるが、着信ではなく、予定表のアラームが鳴っただけだった。

「なんだ…着信じゃってあぁ!」

電波を見てみると3本立っている。


圏外じゃない!!


あわてて希美に電話をかけた。

プルルルップルルルップルッ

祈るように電話をぎゅっと握っていると、電話越しに、もしもし!?という希美の声が聞こえてきた。

「希美!よかった、通じた!」

『れいちゃん!まだ生きてる!?』

つながったことは嬉しかったのだが、希美の言葉に引っかかりを覚えた。

「生きてるって…どういうこと?」

『それがね?今まで行方不明になってた子たち、田中君とれいちゃんを除いて、みんな発見されたの』

「ほんとに!?」

帰る方法がある!そう思うと嬉しさで涙が出そうになった。

『いい、れいちゃん。落ち着いて聞いてね?ゲームのせいで行方不明になっていたのは、全部で8人。うち、5人は発見されたんだけど、いずれも死亡。原因は、現代では考えにくいんだけど、鋭利な刃物。それこそ、刀のようなもので、ばっさりと切りつけられた痕があったの』

希美の言葉に、呆然とする。

『で、つい昨日、もう1人が発見されたんだけど、この人は刀のようなもので、おなかを一突きされてた。で、ここからが重要。この人、日記みたいな物をつけてたみたいなの』

「日記?」

希美の話を、おとなしく聞き続けた。
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