戦国遊戯
『第一発見者によると、発見されたときには、まだかすかに息があったらしいの。そのときに、高校生くらいの男の子が命を狙ってるって言ってて、錯乱状態だったらしいのね。結局、近くの病院にすぐに運ばれたんだけど死亡。で、そのとき懐に、日記らしいものがあったって。内容は、今までゲームをしてきたけど、今回は初めて現代の記憶が残っているって所から始まって、天下統一がどうとか、武将に会いに行っただとか、そんな内容がかいてあったの』

希美の言葉に、ごくり、とつばを飲み込んだ。

『ところが、ある日を境に、誰かにつけられている気がする、だとか、死にかけた、だとか。そんな話が書かれだしてるの。で、死亡前々日の日記には、織田軍が攻めてきたって書かれてあった』

「織田!?」

『史実で確認したけど、そのときに織田信長が兵を出したなんて話はどこにもなかった。小さな戦か何かだって、記録が残っていないだけなのかも知れないけどって言われたけど。なんか引っかかるのよね』

希美の言葉で、ますます、ひとつの可能性が、玲子の中で膨らんでいった。

『今、田中君って織田軍にいるんだよね?』

「え?あ、うん。そう、だけど…」

『…れいちゃんは、誰かに襲われたりとかしてない?』

希美の言葉に、すぐに返事ができなかった。嫌な汗が、背中に噴出してきた。

「田中くんに会ったあと、2度程」

『な、マジで!?』

「うん。で、今日ね、佐助がその襲撃事件は、どうも織田が一枚かんでるらしいって」

2人の間に、しばらくの沈黙が流れた。
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