戦国遊戯
「私はさくらと申します。若様にお使えしております」

さくらの後をついて廊下を歩いていく2人。

…歩いているはずなのに、なぜだか変な感覚が玲子を襲った。何がおかしいのだろうかと考えてみたときに、ふと、あることに気づいた。


・・・私の足音しか聞こえないからだ。


なるほど、と思い、ある1つの推測が玲子の頭をよぎった。さくらに思い切って聞いてみる。

「・・・もしかして、さくらさんってくのいちだったりしますか?」

「えぇ?どうしてですか?」

おかしそうに笑うさくら。違ったか、と思いつつ、玲子も苦笑しながら答えた。

「あ、や。やっぱ違いますよねー。いやぁ、さくらさん、全然、足音がしないから」

そう言った瞬間、ふっとさくらの動きが止まり、すっと、振り返ってきた。

「・・・お名前、そういえば伺っておりませんでした」

にっこりと、表情は笑っている。
が、目は笑っていない。


もしかして、地雷踏んだ?


「えと・・・青柳玲子です」

答えると、さらにさくらが聞いてきた。今度はまったく笑った様子はない。

「そうですか。・・・玲子様は、若様の敵ですか?」

「・・・玲子でかまいません」


こ、怖い・・・


「私は、幸村さんに助けていただきました。敵ではありません」

「信じて、よいのですよね」

首を縦にぶんぶんとふった。


ずっと緊張しっぱなし。も、勘弁して・・・


< 21 / 347 >

この作品をシェア

pagetop