戦国遊戯

先手必勝

戻ってきたさくらからの情報は、耳を疑うようなものだった。

「織田が、近いうちに、玲子を攫いにきます」

「なんだって!?」

幸村が驚く。

「さらに、北条、伊達の両名を暗殺をもくろんでいるようです」

玲子は絶句した。北条も伊達も、まだ死ぬ人間じゃない。なのに、今暗殺をするってことは、どう考えても、誰かが織田をそそのかしたとしか考えられない。

そして、そそのかした人物は―――

「玲子?」

幸村に言われてはっと我にかえる。

「ね、その情報はどこから?」

さくらに聞くと、忌々しそうな表情で答えた。

「誰かわからないけど。めがねの男。それが言ってたの」

「めがね」

玲子が繰り返すと、さくらは頷いた。

「やっぱり…」

ぎりっと歯を食いしばる玲子。


どうしても、田中くんとはやりあわないといけないのかな。


「ゆっきー、さっき言った話。やっぱり当たってると思う」

幸村にそう言うと、決心した表情で、幸村に懇願した。

「お願い、政宗さんの所に行かせて!」

玲子の言葉に、幸村は目を丸くした。

「な、何言ってるんだ!?暗殺されるかも知れない人物のところに玲子が行って、それじゃぁ相手の思うつぼじゃないか!」

幸村が猛反対をする。
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