戦国遊戯
「それじゃ、行ってくるね」

制服に着替え、政宗にもらった羽織を着て、はやぶさに乗る。幸村は複雑そうな面持ちで、玲子を見送った。

はやぶさには悪いが、ほとんど休むことなく、奥州へ急いだ。ことは一刻を争うのだ。

奥州まであと少しといったところで、また、日が暮れた。さすがのはやぶさにも、かなりの疲労の色が見えたため、一旦、休憩をとることにした。才蔵が、手早く薪を集めてきてくれたので、燃えやすそうな枯れ草に、ライターで火をつけた。

「な、なんだそれは!?」

才蔵が驚く。玲子は苦笑いしながら、ちょっとした、カラクリ道具だ、と答えておいた。

まだ、真冬というわけではないが、奥州に近づくにつれ、少しずつ雪がちらつき始めていた。

「玲子殿は、若とはどういう関係なのだ?」

才蔵が興味津々といった風に聞いてくる。玲子が答えに戸惑った。

「いや、どういう関係って、別に、どうも…」

「何でもないのか?」

言われて、うーん、と唸る。

「命の恩人…かなぁ…」

幸村がいなければ、この世界で生きていくことは、まず、できなかったと思う。それに、何度も助けてもらったのだ。

「若のことを好いてはいないのか?」

才蔵の言葉に、思わず突っ伏した。

「な、何言ってんの!?」

「若の片思いというやつか…」

才蔵がしみじみと呟く。玲子はただ、無言で困ったような表情をしていた。
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