戦国遊戯
案内された部屋は、屋敷の中にある、風通しのいい、少し広い一室だった。縁側もついていて、小さくて、でも綺麗な手入れの行き届いた庭が隣接している。
玲子は案内されたものの、どうしていいかわからず、部屋の中をいったりきたりしていた。


困ったぞぉー…


下手に屋敷の中をうろついて、また、敵だの何だのと言われてはたまったものではない。

「・・・これからどうしよう」

とりあえず、天気もいいので、縁側に座って日向ぼっこをしてみた。ぼーっと庭先を眺めていると、すずめが飛んできて、庭におりた。仲良く2羽で、ちゅんちゅんと鳴いていた。

「あっちにいるころは、こんな風にすずめを見たりしなかったなぁ」

なんだか、今までなんとなくで周りをみていたことが、急にもったいなく思えた。


もう少し、周りを見る余裕を持てばよかった、かも、かも。


そう思っていると、ふっと隣に座る人影があった。見ると幸村だった。

「お主は・・・」

「・・・玲子」

「あぁ、すまない。玲子は、その。変わった服装をしているな」

視線が制服に移っていた。


そうか、そりゃそうだ。ここでこの服は珍しいよね。


「私の住んでいたところでは、こういった格好は珍しくないよ」

そう言って、立ち上がると、幸村の前で、くるっと一回転してみせた。ふわっとスカートが広がる。幸村の頬が赤くなった。
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