戦国遊戯
「売られた喧嘩は、買う主義でね」

「殿!」

小十郎の声がした。ものすごい形相で、政宗を睨みつけている。

「何を言い出すかと思えば…ご自分のおっしゃっていることが、どういうことなのか、わかっておいでなのですか!?」

政宗は軽く舌打ちをする。

「おい、小十郎。お前は俺に、尻尾巻いて逃げろってのか?」

「そうではありません!あなたが討って出るということは、奥州の民をも巻き込むということなのですよ!?」

小十郎の言葉に、政宗は少し黙った。

「その覚悟が、おありなのですか?」

言われて政宗はため息をついた。

「しばらく、影を立てろ。北条、上田に気取られぬようにな。俺はこれから尾張に向かう。そうだな、10日ほどで戻る。どういう結果になろうと、な」

政宗の口から出てきたのは妥協案。小十郎は、政宗の決意した強い瞳を見て、ため息をつくと、わかりました、と、頷いた。

「ただし、猶予は10日。必ず生きて帰ってきてください」

小十郎の言葉に、政宗はニッと笑い、わかっている、と頷いた。


私は…


政宗と小十郎のやり取りを見て、玲子は戸惑いながらも決心をした。

「私も、一緒に行く」

「玲子殿!?」

玲子の言葉に、才蔵はびっくりする。

「お願い、行かせて才蔵さん!私には、田中くんを止める義務があるの!」

才蔵にすがりつくようにお願いをする。

「玲子殿!若と約束をしたでしょう!?」
< 220 / 347 >

この作品をシェア

pagetop