戦国遊戯
才蔵の言葉に、玲子は口ごもった。

「私に、その許可を出す権限などありません」

必死で訴えかける玲子に、才蔵は深いため息をついた。

「…尾張に向かう前に、甲斐に寄られてはいかがです」

才蔵の言葉に、玲子の表情がぱぁっと明るくなた。

「ありがとう、才蔵さん!」

そう言って手をぎゅっと握り締めた。才蔵は自分の言ったことを後悔するかのように、深いため息をついた。

夜が開け、空がうっすらと白んできた。吐く息も白く、ちらほらと雪が降っていた。

「小十郎、留守を頼んだぞ」

馬上から政宗がそう言うと、小十郎は深く頭を下げた。

「それじゃ、急ごう」

玲子がそう言うと、3人は馬を走らせて、一路甲斐の国へと向かった。

「殿、お気をつけて…」

小十郎は、じっと3人の後姿を見つめた。
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