戦国遊戯
とにかく、ひたすら馬をとばした。目的は、少しでも早く、尾張に行くことだったからだ。

本当は、才蔵を幸村の元へ帰ってもらって、ことの次第を伝えてもらって、玲子と政宗は、一足先に、尾張に向かおうという話になっていた。
が、才蔵に、それだけは絶対にだめだと、強く断られた。


あんなに嫌がんなくってもいいと思うんだけどな。ま、私に万が一、何かあったら起こられるのは才蔵さんだし、しょうがないか。


玲子の予想とは違った意味で、才蔵は断ったのだが、玲子自身はその理由にはまったく気づいていなかった。


(政宗殿の、あの、見るからにお前邪魔!って視線を見た後に、玲子殿への若の気持ちを知っている俺が、2人っきりで尾張に行かせたなんてしったら。俺、二度と若に顔向けできねーって)

深いため息をつきながら、先行する2人の姿を見た。

(しっかし、玲子殿は鈍いね。若も政宗殿も、同情するよ)


そんなことを思われているとも知らず、3人は甲斐の国へと急いだ。
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