戦国遊戯
***** 玲子's View *****

見慣れた町並みが広がる。

「着いた!」

玲子は叫んだ。少し先に見える幸村の屋敷に急いだ。才蔵と政宗もそれに続く。

門に入ると同時に、はやぶさから降りた。

「はやぶさ、ご苦労様!少しの間だけど、ゆっくりと休んでて!」

声をかけると、急いで屋敷の中に入った。

「ゆっきー!ただいま!」

尾張へ急ぐためなのか、それとも幸村に早く無事を伝えたいのか。正直、自分の気持ちがよくわからなかった。だが、それでも、とにかく今は、幸村に会いたいと、そう、思っていた。

ばたばたと屋敷の中を走り回って幸村を探した。

「玲子様!?お戻りになられていたのですか!?」

侍女が慌てて玲子の傍に駆け寄ってきた。

「うん、今帰ってきたところ。ただいま」

にこっと笑うと、侍女はホッとした顔で、お帰りなさいませ、と答えた。

「ね、ゆっきーは?」

侍女は聞かれて、困った顔をする。

「そ、それが…」

答えてよいものかと、侍女が戸惑っていると、後ろから声がした。

「玲子殿!若は尾張に向かったそうです!」

才蔵が走って玲子のところにやってきた。

「えぇ?何でゆっきーが尾張に!」

聞くと、才蔵の隣に控えていた十蔵が変わりに答えた。

「総大将のご命令です」

「総大将って…しんちゃんの?」

玲子が聞くと、十蔵は黙って頷いた。
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