戦国遊戯
思っていたような顔ではない、な。


「誰なんだ?その相手は」

気になる。
玲子の気になっている相手は、俺だと思っていた。
が、そういった反応ではない。

玲子に詰め寄ると、玲子は苦笑いをしながら、後ずさる。
が、すぐに木が背中にあたり、逃げ場を失った。

「誰だ?」

耳元で囁く。
玲子はこれに弱いらしい。
顔を見ると、また、耳まで真っ赤にしていた。

「あ、あの…その…」

玲子の声が裏返える。もう一押し、と、政宗は玲子の顎を持ち上げて、にっと笑った。

「誰なんだ?」

玲子の慌てふためく顔が可愛く見えた。

「…俺のことはどうだ?」

政宗に聞かれて、玲子は変な声が出た。


なるほど、な。


にやっと笑うと、政宗は玲子の手をぎゅっと握り締めた。

「ななな!何!?」

慌てる玲子をみて、政宗はどこか少しほっとする。

「俺の他にも、気になる男がいるんだな?」


(な、なんなのよ、今日の政宗さん!なんか変!)


ばたばたと動いていると、ずるっと体がすべり、地面に倒れこんだ。
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