戦国遊戯
***** 玲子's View *****

長いキスのあと、政宗の唇が離れた。その瞬間、玲子は政宗の名前を叫んだ。

「政宗!」

浅く短い息を何度も吸った。政宗がはっとした顔で、玲子の方をじっと見つめる。

「な、なんか変だよ」

いや、確かに会ったときからかなり強引ではあったが、なんだかいつもと様子が違った気がした。

「…悪ぃ」

やけに素直に謝られて、玲子は拍子抜けする。

「いや、その…びっくりしたというかさ」

玲子がそう言うと、政宗は玲子をゆっくりと抱き起こし、服についた土を払った。

「はっ、らしくねーな…」

政宗は顔を歪め、ため息をついた。玲子は政宗に、何か声をかけようと思ったが、何を言ったらいいのか、よくわからずに手が空気をつかむようにふらふらしていた。

「俺は、お前を必ずものにしてみせる。真田の野郎なんかには渡さねー」

そういうと、獲物を狙ったような目で、玲子を見つめた。


「玲子、お前は俺のもんだ。誰にも渡さねーからな、覚悟しとけ?」


心臓の高鳴りが止まらなかった。玲子はぼーっと、政宗を見つめた。
< 233 / 347 >

この作品をシェア

pagetop