戦国遊戯
ぴるるるるる、ぴるるるるる、ぴるるるるる

電子音が鳴り響いた。玲子は特に何も思わず、いつものように携帯を取り出しチェックしようとした。

そして、気づいた。

首に、短刀が当たっていることに。

幸村を庇う様にして、さくらが、玲子と幸村の間に入って、短刀を手に、にらみつけていた。


多分、私の後ろにいるのは、佐助さんだろうな。


なんとなく、そんな気がした。

「貴様、今の音は一体なんだ。何の合図だ」

後ろから、ドスのきいた佐助の声がした。
が、そういわれても、メールが届いた合図だ、と言ったところで何の意味もない。意味も通じなければ、さらに怪しまれるだけのような気がする。


マナーモードにしとけばよかった。
後悔先に立たず。身をもって体験しました。


「落ち着け、2人とも」

ため息をつきながら、幸村が2人をいさめる。

「しかし、若」

言いかけるさくらを制して、幸村は少し緊張した面持ちで、聞いた。

「玲子。今の音はなんなのだ?」

「えーと、そうですね・・・楽器、の、ようなものかな」

ははっと笑ってみる。幸村は興味深そうな顔をして、こっちを見ているが、さくらは怪訝そうな顔をして、こっちを見ていた。

「音が鳴るんです。この楽器。特殊な作りで作られていて、ある一定の条件を満たすと」

そう言って、携帯のデータボックスを開き、中に入っていた音楽を鳴らしてみた。自分で以前、作って保存してあった、お気に入りのインベンション。

「どういった仕組みで、それは鳴るのだ?」

聞かれて、言葉に詰まった。

「いえ、私は、この楽器の、詳しい作り方は知らないんです。ただ、短くてもよければ、音を録音させたりすることもできるけど」

「ろくおん?」

「例えば・・・」


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