戦国遊戯
城には案の定門番がいた。来いと言われたから来たものの、中にはどう入ったものかと悩む。


…ええい、一か八か。当たって砕けろだ!


幸村は門番の所へ行く。案の定、止められた。

「何奴!一体何用だ!?」

門番に聞かれるので、幸村は素直に答えた。

「先ほど、私の連れのものが宿から連れて行かれたと聞きました。そのとき、連れのものがいれば、すぐに城に来るようにと、宿の女将に伝言があったと聞きましたゆえ、こちらに参ったのですが」

幸村が一気にまくし立てるように伝えると、門番はたじたじとなる。2人いるうちの1人が、城の中へと走って行った。

「少し待て」

そう言われて、幸村はもう1人の門番が戻ってくるのを待った。
門番が戻ってくるまでに、そう時間はかからなかった。

「お前は…」

門番と一緒に、1人の男が歩いてきた。めがねをかけた、ねっとりとした笑いをする男。

「あぁ、てっきり青柳さんがくるもんだとばかり思ってたけど。別の人が引っかかったみたいだね」

男はにやにやと笑って幸村に近づいてくる。

「あの女の子、1人できたって言い張ってたのに。はは、馬鹿だなぁ」

幸村は黙って男を睨みつけていた。

「俺はね?君みたいな男が嫌いなんだ」

男は幸村をにらみ返し、チッと舌打ちすると、門番に命じた。

「…連れて行け!」

門番は、頭を下げると、幸村を連れて、城の中へと入っていった。
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