戦国遊戯
「そうそう、女性にとって、一番辛い拷問って、なんだかわかるかい?」

学の問いかけに、幸村は答えず、ただただ、さくらを取り戻そうと、もがきながら睨みつけた。

「ふふ、それはね。辱めを受けることだよ」

学は大笑いしながら幸村に言った。幸村の動きがぴたっと止まる。

「…なんだと?」

激しい怒りに満ちた表情を、幸村は学に向けた。

「いいねぇ、その顔。あぁ、なんて楽しいんだ!あっははははは!」

学の笑い声を聞いたさくらが、ぶるぶると震えだした。

「いやぁ!やめてぇ!」

暴れだすさくら。蘭丸に押さえつけられるも、なおもバタバタと暴れていた。

「さくら、俺だ!さくら!」

幸村が必死に声をかけるも、さくらは混乱状態のままだ。

「いや、お願い、やめてぇぇ!」

泣きながら暴れ続けるさくらの姿に、幸村は呆然とした。

「くっ…!貴様ぁ!」

「うわぁ!」

「ぐっ!押さえつけろ!」

押さえつけていた兵達を振り払い、学に殴りかかる。
が、多勢に無勢。
学のところへたどり着く前に、幸村はまた、兵に取り押さえられた。

「さて、今一度聞こうか。お主、名はなんと申す?」

信長の問いかけに、幸村はぎゅっと口を硬く閉ざす。

「さくらとやらが、どうなってもよいというのか?」

すぅっと目を細めて幸村を見る。その信長の表情は氷のように冷たかった。

「くっ…さくらは、返してくれるんだな?」

幸村の問いかけに、信長は笑って答えた。

「お主が名を申すと言うのであれば。ちゃんと、お主のもとに返してやろう」

幸村は少しの間の後、観念して答えた。

「我が名は…真田幸村」
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