戦国遊戯
***** 玲子's View *****

日が昇り、夜に比べると、太陽の光りでぐんと暖かくなった。

「着いたね…尾張」

玲子にとっては2度目となる尾張の地。緊張で体が少し、ブルッと震えた。

「さて、これからどうする?」

慶次に言われて、玲子はうーん、と頭を捻る。


田中くんを止める。


正直、それしか頭に無かったため、どうやって会うのか、といったことを、まったく考えていなかったのだ。

「そういえば、先に、ゆっきーとさくらが尾張に来てるはずなの。ちょっと探してきてもいい?」

慶次と政宗に言うと、あぁ、と2人から返事が返ってきた。

「それじゃ、俺達はとりあえず、どこか宿を探して馬を預けてくる。町の中の飯屋にいるから、探し出せたら、そこで合流しよう」

慶次に言われて、玲子はうん、と頷いた。

「…玲子1人でいかせて、大丈夫なのか?」

政宗がボソッと呟くと、慶次は大丈夫だよ、と軽く答えた。


甲斐に比べて、尾張の城下町は活気があってにぎやかだ。

「すごいなぁ…」

この間、慶次と一緒に町に入ったときに、慶次がたくさんの女の人に取り囲まれたのを思い出した。

「…あれはすごかった、うん。ほんと」

思い出してはぁ、と感嘆の声を漏らす。玲子は、きょろきょろとあたりを見回しながら、幸村やさくらの姿がないかと町中を歩き回った。

「…どっこにもいない…」

すれ違いになっているのだとすれば、神様を恨んでやる!そう思いながら、仕方がない、と、政宗と慶次を今度は探し始めた。

2人を探すのは実に簡単だった。

一箇所だけ、妙に女の人の声のするご飯屋さんがあったからだ。

そっと中を覗いてみると、慶次と政宗の周りに、たくさんの女の人が集まっていた。
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