戦国遊戯
「ねね、お兄さん。うちで遊んでいかはらへん?」

「ずるーい、うちが先やってぇ」

政宗はまったく相手にせずに、ご飯を黙々と食べていた。

「慶ちゃんってば、めったに顔出してくれへんと思うてたら」

「こんな男前はんやったら、いつでも連れてきてくれはったらええのに」

慶次は女の子の相手をしながらご飯を食べる。


なんか…対照的な2人だなぁ。でも、政宗はちょっと意外だったかも。


もっと女の子とはフレンドリーというかなんと言うか。愛想良くしていると思っていたから、少しびっくりした。

「おや、いらっしゃい。人が多くてびっくりしたかい?」

お店のおじさんに声をかけられて、玲子は苦笑いをする。

「あはは、ちょっとだけ」

「慶ちゃんが店にくるときは、大抵こんな感じだからね。それより、なにか食べるかい?」

おじさんに言われて、困ったような顔をする。正直、自分には今、手持ちが無いし、それに、慶次や政宗がもう食事が終わりそうなのだ。

「ごめんねおじさん。今度きたとき、いっぱい食べさせてもらうから、ちょっと今回はお水だけくれない?」

「あいよ!必ずまた来ておくれよ」

そう言うとおじさんは笑って奥へと引っ込んでいった。

「玲子、飯はちゃんと食べねーと」

頭をぽん、と叩かれる。見るとそこには慶次が立っていた。

「何が食いてーんだ?なんでも頼め」

政宗が後ろからどん、ともたれかかってくる。
周りの女性陣からの視線が痛い。

「はい、おじょうちゃん、お水だよ」

おじさんにもらった水を一気に飲み干す。

「ありがとう、おじさん!2人とも、とりあえず、宿に行こう!」

玲子は2人の手を引っ張って、宿を出て行った。
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