戦国遊戯
宿はご飯処から少し城へ向かったところにあった。

「ここ?」

玲子が聞くと、慶次が頷いた。

「馬も預かってもらえるところとなると、限られてくるからよ」

慶次が女将さんに声をかけ、そのまま3人は部屋へと向かった。部屋は2階にある一室で、外に面した障子を開けると、城が一望できた。

「ここからお城が見えるんだ」

玲子がじっとお城の方を見つめていると、政宗が肩をぽんぽん、と叩いてきた。

「幸村たちには会えたのか?」

政宗に聞かれて、玲子は俯いた。

「それが…町中を走り回ってさがしてみたんだけど、それらしい人に会わなかったの」

がっくりとうなだれる玲子を、慶次が慰める。

「ま、この町は広い。たんに行き違いになってるだけかもしれねぇ。後でもう一度さがそうや」

慶次の言葉に玲子は大きく頷いた。

「それで、だ。どうやって城に入るか、だが」

真面目な顔をした慶次に、玲子と政宗も真剣に耳を傾ける。

「玲子、俺の嫁になれ」

慶次の言葉に、玲子は顔を引きつらせる。


この時代の人たちって、なんでそう簡単に嫁にこいだのなんだのって言えるのよ!


「ふざけるな!玲子は俺の嫁だ!」

政宗が刀を抜こうとするのを、慶次は笑って止めた。
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