戦国遊戯
「昨晩、うちの宿にいらっしゃった男女のお客様だったのですが…男性のお客様が宿を出た後に、女性のお客様がお城の使いの方とおっしゃる方に連れて行かれまして。その後に戻ってこられた男性のお客様も、そのままうちを出て行ったきり、戻ってこられていないんです」

困ったような表情で話を女将は続けた。

「一応、お2人から、馬を2頭預かっておりますので、多分、戻ってこられるとは思うのですが…」

「女将さん!」

玲子は言い知れぬ不安に襲われた。


嫌な予感がする。お願い、外れてて!


「その、2人の馬を見せてもらえませんか?」

「えぇ、かまいませんけど」

玲子は馬小屋へと急いだ。政宗と慶次も、その後に続く。

馬小屋に入って、玲子は絶句した。

「そん…な…」

幸村の馬が2頭いた。となると、今、玲子たちが泊まっている部屋に、幸村とさくらがいたということになる。そして、2人がまだ、帰ってきていない。行ったと思われる先は、あの、お城だ。

「慶次…急いでお城に行こう!」

玲子が慶次に言う。

「どうしたってんだ?玲子」

玲子の様子がおかしいことに気づいた慶次は、玲子を落ち着かせた。

「ゆっきーとさくらが…」

玲子の言葉に、政宗と慶次ははっとする。

「まさか!」

政宗が言うと、玲子は泣きそうな顔で言う。

「ゆっきーとさくらが、お城で捕まってるかもしれないの!」
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