戦国遊戯
門番の人たちに、心の中でごめんなさい!と謝る玲子。
城の中にとりあえず入ることができた。

「あら、慶次様、そちらのお嬢さんは?」

「おや、慶次殿。後ろのお嬢さんはどなたかな?」

城の中に入ると、びっくりするくらい、いろんな人に呼び止められた。


け、慶次って…顔広いんだ…


前田家の当主は、慶次ではなく、利家のはず。なのに、なんで慶次はこんなにも城の人から声をかけられまくるんだ!と、玲子はびっくりした。

「玲子」

政宗が後ろから声をこっそりと声をかけてきた。

「どうかしたの?」

聞き返すと、顔を顎で廊下のある部分を指した。

「あそこ、多分、地下牢に続く入り口だ」

言われて思わず凝視する。

「あんまじろじろ見んなよ?まずは、玲子の身の安全を保障させるために、信長に謁見するんだ」

政宗に言われて、こくんと頷いた。
幸村とさくらが、ここに囚われている可能性はかなり高い。が、玲子自身も狙われているうちの一人であることも事実だ。

城の中の構造をしっかりと頭に叩き込みながら、玲子は慶次の後ろをついて歩いた。


「前田慶次、参上いたしました」

「よくきたな、入れ」

「はっ」

通された場所は、もちろん、信長のいる部屋だった。慶次の後ろにつきしたがって、玲子は頭を下げたまま、中に入る。

「して、今日はどうした?」

信長の言葉に、慶次はふぅっと深呼吸をひとつついて答えた。

「この度めでたく、祝言を挙げることとなりました。本日は、その嫁を連れてまいりました」

「ほう…その方の後ろの者か。面をあげい」

信長に言われて、玲子は緊張しながらも顔をすっと上げた。

「はい」

顔を上げると、信長の姿があり、その隣には、学の姿があった。
< 252 / 347 >

この作品をシェア

pagetop