戦国遊戯
学は、玲子の顔を見ると、険しい表情になる。

「先日も、信長様にはお目にかかったかと存じます。玲子と申します」

名前を言って、深々と頭を下げる。信長は大声で笑った。

「そちが慶次に嫁ぐと申すか」

信長の問いかけに、玲子はしっかりとした声で、はい、と答えた。学はギロリと玲子を睨みつけた。

「そんなのはでたらめだ!」

学が割ってはいる。いくら学でも、玲子が慶次の嫁として、信長に紹介されてしまった以上は、うかつに手出しができなくなることくらい、容易に想像がついた。玲子は学の言葉に、ニッと微笑んだ。

「おうおう、兄ちゃん。俺の結婚に、けちつけるつもりかい?」

慶次がギロリと学を睨みつける。学は思わずひるむ。

「落ち着け、2人とも」

面倒くさそうに信長が2人を静める。慶次が笑うと、学はギロリと慶次を睨んだ。

「さて、玲子よ」

信長に名前を呼ばれて、はい、と答える。

「慶次とはどこで知り合った?」

聞かれて、首を傾げる。

「えぇと…慶次様とは、たまたま知り合ったといいますか。重そうな荷物を持ったおばあちゃんを手伝って、家まで送り届けたところ、そこに慶次様がいらっしゃいました。それが知り合ったきっかけです」

しどろもどろになりつつも、何とか答える玲子。


うん、嘘は言ってないもん。


「なるほど。で、お前達、どこまでやったのだ?」

「は?」

信長の問いの意味がわかりかねて、思わず聞き返した。
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