戦国遊戯
城に戻ると、玲子はもともと着ていた制服に着替え、上から1枚だけ、着物を羽織った。

「よいか?策はこうだ」

慶次と玲子が、まずは地下牢の入り口の見張りに近づく。
適当に何かを話しながら、隙を見て鍵を奪い取る。
鍵を奪い取った後、藤吉郎の合図で、政宗が外で騒ぎを起こす。
藤吉郎が、見張りと慶次を呼びに行く。
見張りがいなくなった隙に、玲子が地下牢へと向かう。

「この流れでよいな?」

政宗だけ、少し不服そうな表情をしていたが、仕方がない、とため息をついて、了承した。

「それでは早速、作戦に移るぞ!」

『おう!』


玲子は慶次と一緒に1階まで降りると、そっと廊下の角から、地下牢の入り口を確認した。

「…あれ?見張りの人、いないよ?」

見てみると、藤吉郎の話では2人いるはずの見張りがいなかった。

「交代か何かかな?」

慶次に話しかけると、慶次も首を傾げた。

「いや、交代の時だとしても、持ち場を離れるってことは無いはずだ…」

玲子は、慶次の言葉に首を傾げたが、行くしかない!と、そのまま地下牢へと入っていった。

「おい、玲子!」

慌てて慶次も、その後について行く。

玲子はそろそろと、暗い階段を下りながら、あたりを見回してみる。見張りらしき人物はもちろん、人がいる気配がしない。


こういう時って…確か、大抵罠だったりするんだよね。小説やドラマだと。


そして、そういう時に限って、嫌な予感がひしひしと玲子を襲い掛かる。

「ね、慶次。慶次はちょっと上で待っててくれない?」

こそっと慶次に話しかけると、慶次は首を横に振る。

「違うの、なんかね、嫌な予感がするのよ」

玲子の真剣な表情に、慶次は悩んだ。
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