戦国遊戯
服はぼろぼろになっていて、体中に痣が見える。さくらはぐったりとした様子だ。

「ゆっきー!」

思わず玲子は、牢に走りより、がたがたと牢を揺らした。

「さくらは、さくらは無事なの?」

幸村は力なく頷いた。

「息は…ある」

幸村の言葉に、玲子は歯をギリッと噛んだ。

「待ってて、今、助けて」

「玲子、後ろ!」

玲子が言いかけたそのとき、幸村が叫んだ。玲子は振り返ることもせず、反射的に、横へ飛んでいた。

がぁん!と大きな音が、地下牢に響き渡る。

「ちっ、運のいい奴」

そこには、忌々しそうな表情を浮かべた、学の姿があった。

「田中くん」

玲子が言うと、学は笑った。

「これはこれは。前田慶次殿の嫁になる玲子殿ではないですか」

言われて玲子は、立ち上がってじっと学を見る。

「こんなところで、なにやってんだよ」

低い声で、威圧するように学が言う。玲子は思わず後ずさる。

「俺の計画の邪魔すんじゃねーよ!」

学が怒鳴った。玲子は思わずびくんと体をすくませる。
< 261 / 347 >

この作品をシェア

pagetop