戦国遊戯
「よかった、ゆっきーもさくらも無事で」

ぎゅっと抱きしめると、玲子は幸村を立ち上がらせた。

「ゆっきー、ここから出られる?」

幸村はさくらの方に視線を落とす。

「俺1人ならなんとでも。だが、さくらが…」

さくらはぐったりとしていて、本当に、かすかに息があるだけだった。

「玲子!無事か!?」

そのとき、慶次の声がした。

「慶次!?…そうだ、こっちに来てくれない!?」

玲子に呼ばれて、慶次が駆け寄ってくる。

「…ひでぇことしやがる」

幸村とさくらの状態に、慶次は眉を顰めた。

「慶次、お願いがあるの」

玲子は、さくらに自分の羽織っていた着物を着せる。

「慶次、さくらを私のフリさせて、城から出てくれない?」

玲子の言葉に、幸村と慶次が顔を見合わせる。

「具合が悪くなったとか。何でもいいから、とにかく、さくらを連れて、ここを出て欲しいの!こうやって着物を着せて、慶次が顔を見られないよう抱いていてくれれば、きっと外に出ることできると思うの!」

慶次に頭を下げる。

「おねがい、さくらはすぐにでも医者にみてもらわなきゃ…」

懇願する玲子に、慶次は頷いた。

「わかった。任せておけ」

そう言うと、慶次はさくらを抱きかかえて、牢を走って出て行った。
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