戦国遊戯
玲子は幸村を牢のそとに出させると、学を起こした。本当は、そのまま放っておこうと思ったのだが、落としたままの状態で放置するのはかなり危険だ。

「うっ…」

学が目をさます。

「…大丈夫?」

玲子の声に、学ははっとして身構える。その様子を見て、玲子はふぅ、と息をはくと、牢の外へと走り出て、鍵をかけようとした。

「な、なにするんだ!」

学が慌てて駆け寄ったが、タッチの差で、玲子の方が早かった。

「田中くん。私たちはさ、この世界の人物じゃないんだよ」

玲子の言葉に、学は吐き捨てるように返した。

「はっ!?それがなんだっていうんだよ。所詮、ゲームに過ぎないんだ。俺が、天下統一を目指してなにが悪いって言うんだよ!?」

学の言葉に、玲子は俯いた。

「他のやつらだってそうだったに違いないさ。誰だって、未来を知っていれば、そうしてるさ!」

学の言葉に、玲子の眉がぴくっと動いた。

「他の奴ら…?」

学は笑って答えた。

「俺の他にも、同じようなことを考えてたやつがいたから、だから俺は、邪魔になりえる同じ状況のプレーヤーを倒してやったんだ」

希美の言葉を思い出す。



鋭利な刃物で斬られた痕


そして…



全員死んだ。


私と、田中くん以外…
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