戦国遊戯
膝がガクガクと震えた。呆然とした表情で見つめる玲子に、学は唾を吐きかけた。

「貴様!!何を!!」

幸村が格子の隙間から、学を一発殴った。学は思わず尻餅をつく。

「やめて、ゆっきー!!」

慌てて幸村を止める玲子。その玲子の姿を、殴られた右の頬をさすりながら、学は冷ややかな表情で見ていた。

「うまくやったもんだね」

学の言葉の意味がわからず、玲子はただ、学に吐きかけられた唾を拭いながら、じっと見つめた。

「どうやって、それだけの武将達を手込めにしたんだい?」

「何言って…」

眉をひそめて、玲子が言葉を返そうとすると、遮るように学が続けた。

「前田慶次には、君を嫁だとまで言わせた」

その言葉に、幸村がばっと玲子を見る。

「君の付き人として一緒にいたの、あれ、伊達正宗だろ?」


やめて…


玲子は俯く。が、学はお構い無しに続ける。

「なぜか、信長も君を気に入っているみたいだし、そこの真田幸村も。君に好意があるようだ」


お願いだから、やめて…


玲子は学を睨み付けた。

「なんだよ、その目は。本当のことだろ?」

学の顔が、にたっと笑い、歪む。

「あぁ、そうか。信長の前で慶次とキスができるくらいだ。あ、キスは今の時代じゃ意味がわからないか。この時代では、接吻、だっけ」


ゆっきーの前で、これ以上はやめて…


「寝技でも使ったのかい?」

「黙れ!!」

嫌みたっぷりのその台詞に、玲子は思わず怒鳴っていた。
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