戦国遊戯
時々物陰に隠れ、追っ手を確認しながら、なんとか宿に戻ることができた。

「とにかく、少し横になってて」

敷かれていた布団に、幸村を寝かせようとした。が、幸村は少し困ったような表情をする。

「しかし、さくらが…」

布団から出ようとする幸村を、玲子は慌てて止めた。

「駄目!ゆっきーの体だって、もうぼろぼろなんだから!さくらは慶次がちゃんと連れ出して、手当てを受けさせてるはずだから。心配せずに、ゆっきーは自分の体を治すことを、第一に考えて」

玲子の言葉に、幸村の体がぴくりと反応した。

「慶次…」

「え?」

幸村が慶次の名前を呟いた。玲子は首を傾げる。
そんな玲子の顔を、幸村は複雑そうな表情で見つめた。

「…玲子、慶次に嫁ぐというのは本当なのか?」

幸村に聞かれて、玲子は慌てて否定した。

「ち、違うって!それは、流れでっていうか、なんていうか」

どこからどう説明すればいいのかわからず、うまく言葉にできなかった。
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