戦国遊戯
側に玲子がいる。
自分の手の届くところに、玲子がいる。


そう思った瞬間、冷たいものが、幸村の頬を伝った。


俺が名前を呼べば、この子は笑って俺の名前を呼んでくれる。

ほんの些細な、たったそれだけのこと。
特別なことでも、なんでもない。

なのに。
俺は。

この子が愛しくて愛しくてたまらないと感じる。




失いたくないんだ。


玲子を。
玲子がいる、当たり前の今までの日常を。




だけど、いつか必ずくる。
別れの時が。


この子は言っていた。
自分は、未来から来たのだと。


そして、いつか元の世界に帰る、と。





「…っく……っふ…」

玲子を撫でていた手が、震えた。



幸村は声を殺して泣いた。
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