戦国遊戯
ばん!と襖が勢いよく開いた。
そこには、崩れ落ちるようにして、襖にもたれかかっている政宗の姿があった。

「政宗!」

玲子があわててそばに駆け寄る。政宗は、ぎゅっと玲子に抱きついた。

「無事でよかった。怪我は無いか!?」

そう言って、政宗は玲子の無事を確かめた。玲子は微笑みながら、大丈夫、と告げた。

「合図の後、この場所を悟られないよう、反対へ反対へと逃げてたんだが、まぁあいつら。しつこいのなんの」

そう言うと、彼はごろんと横になった。
玲子の膝に、何も言わずに頭を置いて。

「ま、政宗!?」

突然の行動に、玲子はびっくりする。
が、自分が動くと頭が床に落ちてしまうため、動くに動けない状態だった。

「少し疲れた。休ませてくれ」

そういって、政宗は、幸村を一睨みしたあと、すぅっと寝息を立て始めた。

「もー…」

幸村とさくらを助けるために手伝ってくれた。そう思うと、玲子は政宗に何もいえなかった。

「…俺も、もう一眠りさせてもらう」

幸村から、少しばかり不機嫌なオーラを感じた。が、なんとなく、その理由がわかるだけに、玲子は何も言えなかった。

「うん…おやすみ」


なんだか奇妙な雰囲気の中、身動きの取れないまま、玲子ははぁ、と、ため息をつき、2人を交互に見やった。



この人たち、なんで私なんかがいいって言ったんだろ。



嬉しいと感じながらも、自分がその思いに答えることは、決してできない。
そう思うと、また、玲子の胸がちくっと痛んだ。
< 274 / 347 >

この作品をシェア

pagetop