戦国遊戯
「なんだなんだ?」

慶次は驚いた。幸村と政宗は、今にもつかみかからんばかりの勢いで、慶次に詰め寄った。

「玲子は!?」

幸村に聞かれて、不思議そうに首を傾げる。

「なに言ってんだ?玲子と一緒にいたのはお前さんだろう?」

言われて幸村は、やっぱり、と息をついた。

「おいおい、どうしたってんだよ」

首をかしげながら、慶次は、部屋に玲子がいないことに気づく。

「玲子は?」

その言葉に、幸村と政宗は首を横にふった。

「もしかしたら、玲子一人で城に戻ったかもしれない」

慶次は眉をひそめた。

「あるいは、あんたのところに行っているかもと思ったが、どうやら違うみたいだしな」

幸村がつぶやいた。慶次はバッと部屋を出て行こうとする。

「おい、まてよ!」

政宗が慶次をとめようと腕をつかんだ。が、慶次はぶんっと腕を振り払う。

「城にいるかもしれねーんだったら、確かめに行くしかないだろう!」

慶次に言われて、幸村と政宗は、顔を見合わせてうなづいた。

「それができればとっくにやってる。俺たちだけじゃ入れないことくらいわかるだろう!」

幸村が言うと、政宗が後に続く。

「だから、俺たちも中に入れるように、あんたに手引きしてもらいたい」

2人は慶次に頭を下げた。それを見て、慶次は目を丸くする。


(玲子…お前さん、やっぱり只者じゃねぇな)


2人のその姿に、ふっと慶次は笑った。そして、くるりと向きを変えて、部屋を出る。

「ついてきな」

幸村と政宗はばっと顔を上げると、急いで慶次の後に続いた。
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