戦国遊戯
門がバタンと閉められた。慶次を先頭に、城の中へと向かう。

「…玲子はここにいるようだ」

慶次がぼそっと呟くと、2人の足が止まった。

「やはり、か」

幸村は、ふぅ、とため息をついた。

「知ってたのか?」

慶次が聞くと今度は政宗が返答する。

「知っていた、というよりは、その可能性が一番高いと思っていただけだ。できれば、違っていてほしかったんだがな」

きゅっと唇を結び、政宗はまた、歩き出した。慶次も幸村も何も言わずに足を先へと進める。

「でも、どうしてわかった?」

幸村が小さく聞いてみた。慶次は少し考える様な表情をする。少し眉を寄せ、幸村が慶次の顔を覗き込む。

「いや、玲子と思われる人物が、城の中に入ったようでな」

慶次の言葉に、2人は首を傾げた。

「藤吉郎の知り合いらしき娘が、城の中に入ったと、門番が言っていた」

藤吉郎の名に、政宗は一瞬、眉をひそめた。

「門番自身が玲子だと分かったわけでもないし、そうだと言っていたわけでもないが、十中八九、間違いないと思っていいだろうな」

慶次の言葉を聞いた2人の表情は一気に険しくなった。

「…急ごう」

幸村が言うと、慶次と政宗は黙って頷き、先を急いだ。
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