戦国遊戯
「それはないと思うぞ?いくらなんでも…」

自信なさそうにこたえる藤吉郎に、幸村が詰め寄る。

「おい、地下牢は見てきたのか!?」

聞かれて藤吉郎はぎゅっと目をつむり、首をゆっくりと横にふった。

「ちっ!」

部屋を出て行こうとする政宗を、慶次が慌てて止める。

「待て!」

慶次に腕を掴まれ、ぎっと政宗はにらみつけた。

「離せ!急がねぇと玲子が!」

焦る政宗の頬を、慶次はパシッと軽く叩いた。

「おい!」

幸村が2人の傍に駆け寄る。怒り出すかと思われた政宗は、以外にも落ち着きを取り戻していた。

「…わりぃ」

政宗はそうつぶやくと、ギュッとこぶしを握りしめ、うなだれた。慶次は小さくため息をついた。

「藤吉郎、地下牢へはいけそうか?」

慶次がきくと、藤吉郎は首を縦にふった。

「いけそうかどうか、ということではない。わしが玲子を1人で行かせたのだ。必ず地下牢を探ってみせる」

そういうと、藤吉郎はばん!と襖をあけ、廊下を走って行った。

「玲子…」

幸村は両手をぎゅっと握りしめると、神に祈った。



玲子がどうか…




無事でありますように…
< 293 / 347 >

この作品をシェア

pagetop