戦国遊戯
***** 幸村's View *****

藤吉郎が部屋を出てから半刻ほどたったくらいだろうか。幸村は部屋の中を行ったりきたり、落ち着き無く動いていた。

「落ち着けよ」

政宗が言うと、幸村はその場にどかっと座った。

「しかし、遅くは無いか?」

はぁ、と少しいらいらした口調で言うと、慶次がうーん、と唸った。

「確かに、ちぃっとばかし遅いかもしれんな」

慶次も気になっていたのか、ずっと指をとんとんと動かしていた。

「後少し待って、戻ってこないようなら、俺が行く」

政宗が言うと、幸村がまるで対抗するかのように俺が行く!と言った。

「おいおい、落ち着けよ」

慶次に止められて、2人はふいっとそっぽを向き合った。

そのとき、バタバタっという廊下を走る足音が聞こえてきた。幸村と政宗が身構える。
ばしっといきなり、部屋の襖があいた。そこには、ぼろぼろの姿の藤吉郎の姿があった。

「おい!どうしたんだ、その格好は!」

慶次があわてて駆け寄る。藤吉郎は、それより、と、3人に、玲子が牢につながれていたことを伝えた。

「これ以上は我慢できねー!俺は行くぞ!」

ぎりっと歯ぎしりをする政宗。すっと立ち上がり、部屋を出て行こうとしたそのときだった。

「!!」

政宗と幸村は、慶次に勢いよく引っ張られると、そのまま隣の部屋へと放り込まれ、ぴしゃっと襖を閉ざされた。

「なっ!」

慌てて立ち上がり、襖を開けようとしたそのときだった。
1人の男の声が聞こえてきた。
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