戦国遊戯
「で、俺達をこんなところに呼び出して、一体どうするってんだ?」

表情を崩すことなく、慶次が口を開いた。ちらりと玲子の方を見る。玲子の手首に巻かれた縄に目が行くと、ピクリと眉が動いた。
玲子の表情は暗く、青ざめていた。慶次としては、正直な話、もう少し喜ぶと思っていたからだ。

「釣った魚をリリースするのも悪くないけど。やっぱりきちんと責任を持って処理をしなきゃね」

学がそう言うと、どこにいたのか、周りにたくさんの兵が現れる。


…さすがにこの人数は多すぎる。


玲子が周りを見渡して、兵士の数を数えてみたが、ざっと数えただけでも30人はいる。表情が一気に硬くなった。


こんなところで、捕まってるわけにはいかないのに!


かけられた縄をぐいぐいとねじって、どうにか縄をはずそうと試みた。が、緩めてくれていたとはいえ、きっちりと縛られていて、縄が解けることはなかった。手首がこすれて、また、じんわりと赤くなっていく。

「さぁ、そこの3人を始末するんだ!」

学はにやっと笑うと、兵士に大声で命じた。
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