戦国遊戯
そんな信長に学が気づき、ふと玲子の方を見る。必死で縄を噛む玲子の姿に、学は腹を抱えて笑った。

「何やってんだよ!?気でも狂ったのか?」

玲子を見る目には、強い蔑みと、哀れみの色が映っていた。そんな学にもお構いなしで、玲子は縄を必死に噛み続けた。

「…そんなことをしてなんになるんだよ」

学の言葉に、玲子の動きが止まった。玲子はじっと、学の方を見る。

「そんなことをして、なんの意味がある?」

言われて、玲子は学に掴みかかった。届くはずのない玲子の手に胸ぐらを掴まれ、学は驚いた。ちらっと信長をみると、持っていたはずの縄が、手からするりと下に落ちていた。

「あんた、いつもそーやって、周りを見下してたよね」

玲子の言葉に、学はギロリと睨み付け、小さく舌打ちをした。

「当たり前だろ?みんな俺より頭が悪かったんだ、当然じゃないか」

それを聞いて、玲子は眉をひそめた。

「…そんなんでさ、学校楽しかった?ていうか、今までの人生、楽しかった?」

学はものすごい形相で玲子を睨みつけると、胸ぐらを掴んでいた手を払いのけた。
< 308 / 347 >

この作品をシェア

pagetop