戦国遊戯
この時代にはあり得ないような出来事が起きていた。


今は安静第一ということで、幸村を動かすことはできない。という状況で、なんと信長が小さくはあるが、部屋を1室あてがってくれた。玲子は、いまだに目の覚めない幸村をずっと、付きっきりで看病していた。

玲子はそっと、幸村の額に当ててあった手拭いを取り、水につけて冷やすと、硬く絞って、また、額に置いた。

静かに眠る幸村の側には、つい先ほど、城に到着した信玄に佐助、謙信の3人が座っている。信長が使いを信玄に出したらしい。3人はそっと、その様子を見守っていた。

玲子の隣には政宗と慶次、藤吉郎の3人が控えている。

「すまん、慶次はおるか?」

廊下の方から声がした。玲子が振り替えると、見たことのない男性が立っていた。

「利」

短く言うと、慶次は玲子に、笑いかけて、利の側へと向かった。


なんなんだろう…この武将率。


信玄や佐助はわかる。100歩譲って、用は終わったけど、これまで一緒に過ごしたからと、政宗がいるのはよしとしよう。

なんでここに謙信がいるのか。


いってみれば、ここにいる殆どが敵同士なのに…



かつて、戦場でも、ここまでの人物が、一同に会したことはなかったんじゃないだろうか。

この不思議な雰囲気に、玲子は戸惑いながらも、幸村の顔を見つめていた。
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