戦国遊戯
謙信と信玄に挟まれて、玲子はちびちびとお酒を飲んでいた。

「ねぇ信ちゃん、謙信綺麗だったね」

少し赤くなった顔で、玲子がうっとりしたように言うと、信玄は微笑みながら、そうじゃな、と答えた。謙信の頬が、少しだけ、赤くなった気がした。

「それより玲子、お主の本命はどれじゃ?」

「ごほっ!!ゲホッゲホッ…」

謙信にいきなり聞かれて、思わずむせかえった。

口の回りを手で拭った。真っ赤な顔で慌てるその様子を、謙信はにこっと笑って見つめていた。

「うちのゆっきーはどうだ?」

近所のおじさんが、自分の息子を勧めるかのように、信玄が言う。玲子はあわてて首をふった。

「と、とんでもない!!私なんかじゃ、ゆっきーには釣り合わないよ」

そう言って、チラッと幸村の方を見た。まだ目覚める気配はない。

「そうではないだろう?お主の気持ちはどうなのじゃ」

謙信に詰め寄られて、玲子は言葉が出なかった。

思わず下を向く。

すると、酔っぱらった佐助が、玲子に絡んできた。

「俺は認めねーからなっ」
「ぎゃぁ!!」

ぬっといきなり、俯いていた玲子の目の前に、佐助の顔が現れて、思わず玲子は叫び声をあげた。
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