戦国遊戯
「わかってる。みなまでいうな」

少しだけ、寂しそうな表情で、でも精一杯の笑顔を見せると、慶次はぎゅっと玲子を抱きしめた。玲子はそっと目をつむり、ありがとう、と呟いた。


慶次は、利と藤吉郎を連れて、一升瓶片手に、部屋を出ていった。

入れ違いに、政宗が厠から戻ってきた。

「どうした?玲子」

政宗に聞かれて、なんでもない、と首をふった。


そうだ、政宗にも、ちゃんと言わなくちゃ。


じっと政宗の方を見つめると、政宗は少し、難しい顔をした。

「…―あぁっくそっ!!」

突然叫びだした政宗に、玲子は驚く。

ぐしゃぐしゃっと髪をかくと、政宗は玲子の腕を掴むと、そのまま連れて、部屋をでていった。

「えっ、どこいくの!?」

玲子は慌てて聞いてみるが、政宗は無言のまま、ずんずんと先へ進んでいく。


連れられてきた場所は、城の中庭だった。
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