戦国遊戯
しばらく沈黙が流れた。政宗は、玲子の手をぎゅっと握ったまま、顔は別の方へ向けて何かを考え込んでいる風だった。

「政宗」
「玲子」

思いきって声をかけると、政宗が自分を呼ぶ声とかぶった。

「なに?」

慌てて玲子が、政宗に用件を聞かれる前に聞いた。少し、気持ちを伝えるのが怖くて、玲子は告げることから逃げた。


こんなじゃダメだ。伝えるって決めたのに。


また、しばらくの沈黙が2人を包んだ。


深いため息の後、政宗が重い口を開いた。

「俺は、玲子のことを気に入っている」

玲子の体がピクリと反応する。政宗は、続けた。

「何故か不思議と惹かれるものがあった。最初はたんなる気まぐれだった。珍しいものを見つけた、と」


私、珍獣扱い?


玲子は少し笑った。

「が、気づけば、俺のものにしたいと思っていた。お前が欲しいんだ、玲子」

ふと玲子の顔から笑みが消えた。そっと政宗の方を見ると、政宗は少し頬を赤らめながらも、真剣な眼差しで玲子を見つめていた。
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