戦国遊戯
深呼吸をして、玲子が答えようとしたとき、政宗がぎゅっと抱きしめてきた。

「えっ…」

焦る玲子。が、首筋に温かい液体が溢れているのがわかった。

「ありがとう、でも、政宗は私なんかにはもったいないよ」

そう言うと、更にきつく抱きしめられた。

「それは俺が決めることだ」

言われて、玲子は少し苦笑いを浮かべた。


そうだね。
ちゃんと、伝えなきゃ。



「ごめん」


そう呟いたとき、政宗の肩が震えていたのに気づいた。

「政宗のこと、私も好きだよ。だけど、それは友達として」

政宗は黙って頷いた。

「政宗とは、友達で、いたい」

震えて、消え入りそうになるのを必死で我慢して、玲子は続けた。

「それは都合よすぎるって、わかってるけど」

「…わん」

「え?」

政宗が何かを呟いた。あまりにも小さな声だったため、玲子は思わず聞き返した。
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