戦国遊戯
着いた先は、自分が初めてこの世界へきた場所だった。

ほんの少しの間の出来事だったのに、自分にとってはまるで何十年分にも値するくらい長い時間に感じられていた。

はやぶさから降りると、玲子はぎゅっとはやぶさを抱きしめた。

「ありがとう、はやぶさ。お前、サイッコーの友達だよ」

はやぶさは、ぶるぶるっと顔をふった。玲子はその様子を見て微笑んだ。

「ここで大丈夫。ほら、お家にお帰り」

そう言って、はやぶさのおしりを軽くぱんぱんっと叩いた。はやぶさは小さく駆けながら、その場を去っていった。

「ふぅ…」

ずるっと地面に座り込んだ。ぼーっと宙を眺めながら、今までの出来事を思い返してみる。

幸村に殺されそうになったり、戦に参加したり。お酒を飲んだり、いきなりキスされたり、嫁になれと言われたり。

思い出しながら、玲子はくすくすと笑った。


ほんっと、いろんなことがあったな。


たくさんの人に出会い、助けられ。
大切なことを知り、改めて感謝した。


そして。


大切な人ができた。

愛する人ができた。


「怒るかなぁ、ゆっきー」


一人苦笑いを浮かべる。
そして、少しだけ、このままこの世界に居られないだろうか、と、そんなことを考えた。
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