戦国遊戯
しばらくの間、呆然とその場に立ち尽くしていた。

「なぜ…なぜだ!なぜなんだ!玲子!」

昨日、玲子は俺を受け入れてくれた。
てっきり、玲子はこの世界で、俺と一緒に生きてくれる。側にいてくれるものだと。そう思っていたのに!

怒りと悲しみで、幸村は崩れ落ちた。

「玲子!戻ってきてくれ!」

だん!っと地面を叩いたとき、胸元でカサッと小さな音がした。幸村はふっと、玲子が書いたと思われる手紙を持ってきていたことを思い出し、そっと取り出してみた。


こんなもの…


思わず破り捨てようとしたものの、少し中身が気になり、幸村はほんの少し考えて、手紙を開いた。

「れ…いこ……」

ぽたぽたと涙が手紙の上に落ちた。

「ふっ……うぅ…」

幸村はぎゅっと手紙を握り締め、声を殺して泣いた。
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