戦国遊戯
そういえば、と、希美は玲子が2・3日休んでいたことがあったのを思い出した。

「お、お父さんとお母さんはなんて?」

もちろん、玲子一人でどうにかできる話じゃない。希美が聞くと、玲子は少し苦笑しながら答えた。

「最初めっちゃ怒ってた。てか、何があったって」

そう。計算していくと、ちょうど失踪があった頃に、子供ができたことになるのだ。希美以外は真相を知らない。当然、両親はおろせと言ってきた。

「本当は、ちゃんと言うべきなんだろうけどさ。言ったところで、信じてもらえるような話じゃないでしょ?」

玲子が少しため息混じりに言うと、希美は確かに、と頷いた。

「だから、申し訳ないとは思ったんだけどさ。でも、私、ゆっきーの子、産みたい」

力強く言った玲子に、希美は微笑んだ。

「れいちゃんらしいね」

玲子は照れながら続けた。

「どうしても産みたい。それだけずっとお願いしてたの。そしたら、ほんと、すっごいしぶしぶだったけど、許してくれたんだ」

そっと、玲子はおなかに手を当てた。

「ゆっきーとはもう会えない。でも、ここに、ゆっきーが私を愛してくれた結晶が居るの」

いとおしそうにおなかをさする玲子。希美はうん、と頷いた。

「赤ちゃん、産まれたら私にも見せてね?」

そう言うと、玲子はもちろん。と、頷いた。
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