戦国遊戯

覚めない夢

手合わせの後、信玄が、夕飯に招待してくれた。おなかは確かにぺこぺこだったので、ありがたく、その誘いを受けた。

で、今は何をしているかといえば・・・


「きっもちいぃ~!」


ちゃぷん、と、湯船に浸かる。
汗を流すために、お風呂を借りていた。さすがは大きなお屋敷。お風呂も大きい。

この時代には、もちろんガスなんてもはないし、自動給湯器だってもちろんない。どうやってこんなの大きな浴槽いっぱいまで、あったかいお湯を入れたのかは少々なぞではあったが、まぁそこは夢、と思って気にしないことにした。

頭までさぶん!とお湯の中に浸かってみた。

「ぷあぁ!」

だめだ、気持ちいい。
家の浴槽はもっと小さくて、足をまげて入らないといけない。けど、ここの浴槽は、大きくてゆったりできるし、何より、檜だろうか、ほんのりといい香りがする。

ゆったりとつかりながら、体中をしっかりと揉みほぐしていく。運動をした後は、しっかりとマッサージをしてやらないと、翌日痛い目を見る。


でも、そういえば、昔はこういうお風呂の夢とか見たら、おねしょしたりしてたんだっけ。


ふっと昔のことを思い出した。そしてはっとする。
この歳で、おねしょしたらどうしよう!?はずかしすぎる!


そう思うと、いても立ってもいられなくなり、少し、名残惜しいと思いつつも、そのままお風呂からあがった。
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