戦国遊戯
食券を購入して、学生ランチを受け取り、席に着いた。

「あ、今日のランチ豚のしょうが焼き!?そっちにすればよかったー!」

親子丼を持った希美が、私のお盆の中身を見てつぶやいた。

「いいでしょ~」

つまらない学校生活の中での、数少ない楽しみだ。うちの学校の学食は、安くて、なかなかおいしい。

「でもさ、田中君。ほんとどこ行ったんだろうね」

希美がご飯を一口分すくって、口の中にひょいっと放り込む。

「希美はどう思ってんの?」

玲子は豚肉の側に添えてあったキャベツをつつきながら聞いてみる。

「そりゃ、やっぱり。ワールドヒストリが関係あると思うけどな。だって、今年に入って、これで7人目だよ?」

うーん、と、ご飯を口に運びながら、希美の推理を考察してみた。

「でもさ、関係あるとしても、だよ?どう関係してるんだろ」

「そこがわかれば、事件も解決してるって」

はぁ、と、少しあきれた口調で希美が言った。

「それもそうか」

ははっと笑ってお肉を一枚放り込んだ。

近くで食べてる別の生徒達の間でも、同じく失踪の話題で持ちきりだった。
玲子達も、ああでもない、こうでもないと、いろんな想像を膨らませながら話をしていたが、そろそろ次の授業が始まる頃だと、食べ終わった食器を片付け、教室へと戻った。

午後からはまた、退屈でつまらない、授業が再開された。


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